

無機的なデータよりも、
有機的なコミュニケーションを。
入社後に配属されたのは、ゴム事業部。自動車、IT機器、医療機器…。暮らしの周りから工業製品まで、世界のあらゆる場所で使われるゴム製品の材料となるゴム素材や、関連化学品を取り扱う事業部で、営業として関東以北エリアの顧客へ製品販売を行っています。また、日々の営業活動だけでなく、展示会に出席したり、日本をはじめとしたアジアのマーケットを調査したり、その結果を新規の海外サプライヤーに向けて発表する機会もあります。提案資料をつくる際は、文献や統計だけに頼るのではなく、生産工場などを訪れ、現場の声に耳を傾けることを大切にしています。顧客やサプライヤーごとに抱えている課題はさまざま。製品の供給を通して、どんな課題を解決できるか。ただ無機質なデータを並べただけの提案では、心は動かせない。広い視野を持ち、相手の立場に立って物事を考えることを意識して日々の仕事に励んでいます。
入社して間もないころ、仕事の向き合い方を考えるきっかけになった出来事がありました。それは、ドイツに本社を構えるサプライヤーとの出会いでした。私が携わらせていただく以前から、10年以上のお付き合いがある取引先。その担当者が、商品の供給先である医療機器メーカーを訪問するために来日されたのです。私は商談の場をセッティングし、新商品の提案をフォローする役割を担うことになりました。商談の場で、どこかビジネスライクに振舞ってしまう自分とは対照的に、自然と相手の懐に入ってしまう。そんな担当者を見て、営業としても学べることがたくさんありました。また、三洋貿易とサプライヤー、そしてお客様の3社が、過去にどのようなきっかけで取引がはじまったのか、それが現在どのように実を結び、世界に流通しているのか。この仕事の意義を知る機会にもなりました。
10年後も、
ありがとう。
人と人との
信頼の歴史。
そのサプライヤーが扱っている樹脂という素材は、ゴムというよりもプラスチックに近い素材です。ゴムを主軸とした事業部でありながら、前任の営業担当が親身になって供給先を探し、綿密な戦略を立て、拡販してくれたのだそう。当時を振り返り、「三洋貿易さんのおかげです」と改めて感謝の言葉をいただきました。三洋貿易が70年以上にわたる長い歴史を築いてこれた理由は、マーケティング力や商材の専門性のためばかりではなく、いわば人間力。私の仕事は、人と人との信頼の歴史のうえに成り立っているのだと再認識したのです。もちろん、営業としての命題はノルマや数字を追いかけること。しかし、そのなかで、関わる人と互いに心を通わせる。それこそを、私は貿易と呼びたい。これから何十年と続くような関係を、たくさんの人と築いていけたらと思っています。
ゴム事業部
寺田 一真KAZUMA TERADA