日本のクルマを、
より快適に。
私の主なお客様は、国内の大手自動車メーカーにシートを納めるシートメーカー。北米をはじめとする世界中の仕入先から部品を調達し、シートメーカーに納入しています。これまで一番印象に残っているのは、ある自動車メーカー向けに、新規主力となるシートヒーターを提案した案件です。北米部品メーカーと協力し、約2年間を費やして正式な量産向け受注に成功しました。
自動車の快適性を大きく左右する、その性能。受注のためには、厳しいスペック水準を満たさなければいけません。安全性・耐久性はもちろん、座面温度の昇温性能や均一性(ムラが無いか)。一定の温度到達までに何分、といったいくつもの条件をクリアする必要があります。仕入先メーカーは高い技術力を持っていましたが、前例の無いシート構造や厳しいコスト要求が重なり、最終案がなかなかまとまりませんでした。海外の仕入先拠点に何度も足を運び、現地の設計担当との検討を続ける日々を重ねました。
お客様にとって、仕入先の窓口は私です。逆に、仕入先にとっては、私がお客様の窓口。お互いの納得できる落とし所を探るために、自動車についても、部品についても、私自身が深く理解しなければいけません。特にそのシートヒーターに関しては、設計レベルまで入り込み、仕入先と意見を交わし続けました。「別の熱線配策にすると昇温性能が高まるのでは?」「形状を変えれば、もっとコスト低減出来るのでは?」。そうして2年間、試行錯誤を繰り返した末に、ようやく要求性能・コスト水準をクリア。これまでにない、最高レベルの完成品にたどり着くことができました。苦労の末に生まれたシートヒーターは、当時から数年経った今でも、その自動車メーカーが生産する多くの車に搭載され、世界中を走り回っています。
設計部分まで、
入り込む。
新たな価値に、
光を当てたい。
現在は、サスペンションマットやランバーサポートといった別の内装用部品を国内の主要自動車メーカーにお届けしています。世界で高シェア率を誇る優秀な仕入先と手を組み、お客様の期待を超えるために挑戦を続ける毎日です。仕入先が本社を構える北米、生産拠点を置く中国・欧州を中心に、海外にも頻繁に足を運び仕入先との交渉や新規分野の商材開拓を行っています。
自動運転をはじめとした技術の進歩が著しい自動車産業。市場の可能性が大きく広がる中、まだ誰も目をつけていない技術や商材を、これから自分の力で掘り出してみたいと考えています。既存のニーズに応えるだけではなく、お客様の想像を超えるような新しい価値を見つけること。生産設備や技術を持たない商社である私たちの一番の存在意義は、きっとそこにあると思うのです。
モビリティ第二事業部
熊谷 修平SHUHEI KUMATANI